増田和牛対談
増田和牛対談 ページ2
■エサにこだわっている事はありますか? |
増:飼料は炊きエサ、蒸し上げた大麦を仕上げに |
6ヶ月間与えてます。 |
昔、松阪牛や近江牛をやっていた人たちの |
やり方です。今はどうか分からないけど |
宮:今は、やってないよ。 |
炊きエサくれてる人はほとんどいないですよ |
松阪牛の2~3頭しか飼ってない人とか |
そういう和牛肉は市場には出てこない |
ですからね。 |
増:近江あたりでも炊きエサやってる人いるらしいけど |
全部自家消費だってね。 |
イ:では炊きエサを与えてるのは珍しいのですね。 |
宮:そうです。手はかかるしね。 |
増:後は、それだけでは駄目で他の飼料との |
バランスがあるから、炊きエサを与えすぎると |
柔らかすぎてグチャグチャの和牛が出来ちゃうんだよ |
牛もおいしい物が良く分かっていてあげればそればっかり |
食べちゃうんだよ。 |
それと飼料に炭を混ぜて与えてる、牛舎あんまり |
臭くなかったでしょ? |
■生産量はどれくらいですか? |
増:週に一頭半、月に5~6頭 |
増田和牛を作ってもらってるグループだと |
週に12頭前後だね。 |
イ:増田さん本人の和牛はとても貴重なんですね。 |
■育てる上で気を付けていることは? |
増:やはり一番気を付けている事は、健康です。 |
枝肉にしてケンネン油がついてない肉は駄目だよ |
って言われて、内蔵が健康な牛はケンネン油が |
しっかり付いているんだよ。 |
宮:やはりケンネン油が付いている牛じゃないと |
上物とは認められませんよ。ケンネン油が付いてなくって |
サシが入ってるっていうのは簡単に出来るんですよ。 |
肝機能障害にしてしまえば簡単にサシは入るけど、 |
食べても全然おいしくない。結局は病気になってる |
わけだから、そうなった牛の一番食えない部位は |
フィレ肉、腎臓に近いからどうしても臭いが付くんだよ。 |
イ:そういう事なんですね、だから和牛肉はサシだけで |
選んじゃ駄目なんですね。 |
増:サシは簡単にビタミンコントロールでも入れられるし |
そういうビタミンコントロールされた牛は、ピンク色の |
肉色の肉しか出来ない。 |
簡単に配合飼料を使っていると健康に育つんだけど |
牛がみんなカバになっちゃう。肉じゃなくって |
油が出来てしまうんだよ。良い肉を作るには |
配合飼料だけじゃ駄目でやっぱり麦を食べた |
牛が美味しいんじゃないかな。トウモロコシじゃ |
なくってね。 |
増田和牛対談 ページ3
■増田和牛を育てて苦労話、トラブルエピソードなどが |
ございましたらお聞かせください。 |
増:イメージどうりのエサを与えて肉になったときに |
何だこれ?みたいな。油が全然締まらなかったり |
サシがまったく入ってない肉が出来ちゃったり |
一頭一頭個体差があるのでそこらへんが一番 |
難しい、一つの答えは無いからね。 |
去年の年末は参ったよ、突然油が締まらなくなって |
それがしばらく続いて、原因は分からないんだけど。 |
宮:一番年末のおいしい時にこれかよ、って(笑) |
増:しょうがないじゃんわからないんだもん |
何時もと一緒にやっていて、突然そうなるから |
宮:家にいなすぎ~~(笑) |
増:みんなから遊びすぎなんて言われて、そんなこと |
ないんだけどね。自分もがっかりしているのに |
追い討ちをかけるように言われてなんだよ~って |
同じに育てていても同じものが出来ないのが一番の |
悩みだね。 |
■最後に消費者の皆様にメッセージをお願いします。 |
増:食べる時に何も付けづに食べてもらいたいです。 |
最低限塩だけとか |
宮:後は焼いてる時の香りを楽しんでもらいたいです。 |
それと焼き色、良い肉は良い焼色が付くんですよ。 |
そして、肉から出た油で野菜を炒めて |
食べてもらいたいです。 |
イ:考えただけでも美味しそうですね。 |
増:お腹いっぱい食べて、また食べたいと思うか |
そう思える和牛肉をこれからも作って行きたいです。 |
結局自分で育てて自分で美味しく食べられる 和牛肉を作らなければ |
全部同じには出来ないけれども、それは最低限努力しなきゃ |
今は、みんな大きい牛を作ろうってやってるけど |
それは去勢牛で、昔ながらの美味しいメス牛を作らなければ、 |
経営的には大変だけどね~(笑) |
ぼろ儲けは出来ないけど、損はないよね、それで良いと思って。 |
200頭規模でしかないから、量じゃなくって質で勝負したいね。 |
と増田さん、そのこだわりは大変なものでした。そんな 貴重な和牛肉を |
食べられる事に感謝してこのインタヴューを しめさせていただきます。 |
1時間半にわたるロングインタヴュー、増田社長、宮澤社長、勝則君 |
お忙しい中ありがとうございました。 |
増田和牛対談 ページ1
増田和牛対談 ー増田牛を作った2人の男ー
左:増田畜産 代表取締役 増田 順彦氏
右:東京食肉市場内 株式会社 マルフジ 代表取締役 宮澤 和裕氏
インタヴュア:生井 勝則 須田 麻紀夫
こだわりの群馬県産増田和牛、そのこだわりとはどういうこだわりか?何をこだわっているのか?を独占インタヴュー。増田牛和牛の実力に迫ります。
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